日本の特許法には、特許権や意匠権の侵害に対する刑事罰規定がありますが、台湾の専利法(日本の特許法・意匠法・実用新案法に相当)には刑事罰規定がありません。
特許権・意匠権侵害に対する刑事罰は、以前は台湾にもあったのですが、2003年の法改正により削除されました。
刑事罰を廃止した理由について調べてみたところ、(1)WTO・TRIPS協定では特許権侵害に対する刑事罰を設けるかどうかは各国に委ねられており、世界の趨勢からも民事上の賠償で十分であると考えられること、(2)特許権侵害の判断には専門的・技術的な知識が必要であり容易には判断できないため、特許権者が刑事告訴を悪用する事例がみられたこと等が主な理由のようです。なお、刑事罰の廃止とバランスを取る形で、民事上の懲罰的損害賠償額が損害額の3倍まで引き上げられました。
ちなみに、台湾でも商標権と著作権の侵害については刑事罰規定が存在しており、専門の捜査機関が日々熱心に模倣品や海賊版の摘発を行っています。ですので、権利の性質によって制度にメリハリをつけているのかなという感じがします。
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