台湾でも日本と同様、商標登録が認められるためには「識別性」が必要です。
ただ、日本と異なり、台湾では、商標が識別性が無い部分を含んでいる場合、その部分について「不専用声明」(専用権を放棄する旨の意思表示)を行わなければ商標登録を受けられない(商標法29条3項)という規定があります。
この違いがはっきり出るのは、立体商標に文字が含まれている場合ではないでしょうか。
日本では、立体商標に商品名等の文字が含まれている場合、文字部分も含めた全体的な構成について識別性が判断されるようです(商標審査便覧)。一方、台湾では文字部分の識別性と立体部分の識別性は別々に検討されるので、文字部分に識別性があっても、立体部分に識別性が無ければ登録を受けるのは難しいということになります。
日本の化粧品「雪肌精」のボトルが台湾で立体商標出願された際、TIPO(台湾智慧財産局)は、「”雪肌精”の文字部分には識別力があるが、ボトル部分には識別力が無いので、ボトル部分について不専用声明をしなければ登録を認めない」と判断しました。ですが、この事件の上告審で、最高行政裁判所は「本商品は台湾でも知名度が高く、(文字を除いた)ボトル部分が後天的な識別性を獲得している」と認定し、見事、商標登録が認められました。
(最高行政法院104年度判字742号、2015年12月31日)
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